マールト
Mahrt
ドイツにおける夢魔、つまり悪夢を見させる妖精。マールトは寝ている人間の胸の上に乗って悪夢を見させるので、悪夢を見ることを「マールトに馬乗りにされた」と形容する。ある男はマールトに(つまり悪夢に)悩まされていたので、自分が悪夢を見ているようだったら、鍵穴と壁の節穴を外から塞いでくれと友人に頼んだ。他に入り口らしきものが無かったのでマールトがそれらから出入りしていると考えたのである。友人は頼まれた通り、うなされている男の部屋の鍵穴や節穴をわらで塞いだ。すると翌朝になると美しい娘が部屋の隅でうずくまっていた。男はその娘と結婚したが、娘はしきりに自分が入ってきた節穴がどこかを尋ねた。男は初めは教えなかったが、娘が「最後に母親に会いに行きたい」としきりに懇願するので教えたところ、すぐさま娘はその節穴から外に飛び出して二度と帰ってこなかったという。
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