キリャ
Quilla, Killa, Kilya
インカにおける月の女神。皇帝であるサパ・インカ(「単独ないし唯一のインカ」の意。皇帝に与えられる称号)が現世における太陽の化身であるとみなされたのと同様に、皇帝のコヤ(正室)も現世における月の化身だと考えられた。クスコの聖域であるコリカンチャの神殿の一つはキリャに捧げられ、そこには銀で出来た女神像が安置されていたとされている。歴代のコヤのマルキ(ミイラ)もこの神殿内に安置され、10月の春の月の祝祭などにはこのマルキを持ち出し飾り立て、飲食物を捧げた(これらのマルキは歴代皇帝のマルキと同様に柩に入ったまま行進に持ち出された)。インカにおいて月食は天に住む蛇、ないしピューマがキリャを食べようとして起こるものだと考えられた。それゆえ月食に強制的にコリカンチャに集められた人々は、これらの天の獣を怖がらせ、キリャを食べられないようにあらん限りの騒音を立てたという。
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