イピウプ・イニュア

イピウプ・イニュア

Ipiup Inua

北アメリカ大陸の北極圏やカナダの島嶼部に住むイヌイットのイグルリック族の伝承にある人食いの精霊。部族の人々が、突然いなくなり始めた。そんなある日三人の姉妹が一緒に遊んでいた。一人がセイウチの骨で作った小鳥を見つけ、他にもないか探しているうちに、突然、一軒の家の中にいることに気付いた。入り口には女の精霊がいた。長女は、自分達が人食い精霊の家にいることを悟って「私が抱えている柔らかい動物の肉を食べる前に、ちょっと後ろを向いて、入り口の土を食べていてください」といって、その隙に地面に穴を掘り、逃げ出し、家に帰り母親に顛末を告げた。男たちはいなかったので、女だけで復讐に出かけた。姉妹の真似をすると家の中にいた。女たちは「鯨捕りは捕まえた鯨を殺せない。だから、アンタの鍵爪を切りに来たよ」といい、精霊の手足を縛った。女たちが精霊を殺そうとしたとき、精霊は「私の内臓はビーズでできている」と言った。殺して腹を裂くと、その通りだったので、女たちはそのビーズで身体を飾った。しかし一晩立つとビーズは内蔵に戻っていた。

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  • This Page Last Updated: 2015-08-25