方便波羅蜜菩薩ほうべんはらみつぼさつ
Upāyapāramitā
密教における菩薩の一尊。サンスクリット名を「ウパーヤパーラミター(Upāyapāramitā)」と称する。彼岸(悟り)に至る行法を「波羅蜜(はらみつ)」といい、波羅蜜を分類したうちの「十波羅蜜」のうちの一つである「方便波羅蜜(ほうべんはらみつ)=衆生を真の教えに導くこと」を仏格化したもの。「ウパーヤパーラミターター」は「烏波野波羅蜜多(うはやはらみた)」、「漚波耶波羅蜜(うばやはらみつ)」などと音写される。胎蔵界曼荼羅の虚空蔵院の南側(右側)上段に中央より第二位に配される。その像容は身色肉色で羯磨衣を身に着け、両手で策を持ち赤蓮華に座す姿で表される。
種字は「मे(me)」、「मै(mai)」、密号は「究竟金剛(くきょうこんごう)」、「究竟善巧金剛(くきょうぜんぎょうこんごう)」、三昧耶形は羂索。印相も両手を金剛拳にし人差し指を中指を伸ばし掌を体に向け中指の先を側め合わせる(指の背を合わす)もの、真言は「唵摩賀毎怛囉喞帝娑嚩賀」(方便波羅蜜菩薩真言・T0852)。
- 画像
-
- 画像を開く
方便波羅蜜菩薩
望月信亨 編
「仏教大辞典 第5」より
国立国会図書館蔵
Copyright: public domain