ホルス

ホルス

Horus

エジプト神話における天空神。オシリスイシスの子でオシリスのあとを継いでエジプト王位についた神とされる(ゲブヌートの子とされる場合もある)。配偶神はハトホルないしネクベト、子供は「ホルスの愛するホルスの子供たち」と称されるカノプス壷を守る四柱の神々、イムセティハピケベフセヌエフドゥアムウトエフや音楽の神イヒなどがいる。ハヤブサの姿、或いはハヤブサの頭を持った人身獣頭の神であり、ときに手に杖を持ち額に王権の象徴である神聖な蛇をつけた姿で表現される。ホルスは死亡したオシリスとイシスの魔術的な性交により生まれ、沼地で産み落とされた彼は秘密裏に育てられていたが、やがてオシリスを殺した張本人である悪神セトに見つかってしまう。セトの眷属である毒蛇に噛まれ、ホルスは生死の境をさまよったが、主神レーによってその毒を抜かれて、順調に成長した。その後ホルスは父オシリスの復讐を果たしエジプトの王権を握るが、この時授かった王権を象徴する「目」はオシリスに渡し、自分は神聖な蛇をつけた。これ以降、蛇がエジプト王権の記章となったとされる。

ホルスは多くの神格を一つにまとめた習合神であり、その神格や神話に多くの矛盾をはらんでいる。オシリスの子供とされながら一方でオシリスと兄弟とされるのも複数の神格を一つにまとめたことからくる矛盾である。またホルスは神話ごとに別々の名前で呼ばれるため多くの別名を持っている。例えば「ハロエリス(Haroeris,Heru-ur)」は空の神で太陽と月を両目とするとされたホルスであり、「ホルアクティ(Horakty,Harakhty)」と「ホルエムアケト(Horemakhet)」は太陽の神で、東の地平線に昇る太陽を象徴するホルスである。他にも老いたホルス「ハルソムトゥス(Halsomtus)」や、幼きホルス「ハルポクラテス(Harpocrates)」を始め様々な別名・別人格のホルスが存在する。

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  • This Page Last Updated: 2016-01-28