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説明
日本の埼玉県や東京の奥多摩地方、群馬県、栃木県、茨城県、長野県、新潟県などに伝わる憑き物の一種。「御先」のほかに「尾先」、「尾裂き」などの字を当てる。「オサキ狐」とも呼ばれ、この場合「御先狐」、「尾崎狐」などの字を当てる。また「オオサキ」とも呼ばれる。
御先は(普通は見えないが)小動物の姿をしていて鼠よりは大きいが兎や狐よりかは小さいとされる。体色は斑だとか橙色だとか白色だとか土地や文献により差がある。オコジョのことではないかとする説もある。御先に憑かれたものは狐憑と同じように腹痛や発熱を起こしたり異常な行動をとったり大食になったりする。また個人ではなく家系に御先が憑く場合、その家は次第に裕福になるが周りの家に迷惑がかかるという。具体的には家の者が他の家のものを欲しがったりすると実際に御先が奪ってきたり、或いは他の家を憎んだり妬んだりすると御先がその相手を病気にしたりしてしまう。こういった御先の憑いた家系(いわゆる憑き筋)は「御先持ち」、「足持ち」、「四足(よつあし)」などと呼ばれた。
御先や御先狐、オオサキには地方によって色々な特色があり、悪さをしない御先や、家に憑くと裕福にならず貧乏になる御先の伝承も残っている。九尾の狐が退治された時、その尾の先が各地に散って御先になった、という由来譚もある。
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参考文献
- 24妖怪事典
- 著者:村上健司
- 編集:山本敦
- 発行者:山本進
- 発行所:毎日新聞社