アヌビス

Anubis

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説明

エジプトにおける冥界神の一人。本来は「インプ(Inpw)」の名で呼ばれた。冥界への門を開き、死者をオシリスの裁きの間へと導く役目を持つ。オシリスとネフティスの子であるが、本来ネフティスの夫はセトであるのでアヌビスは「不義の子」ということになる。それ故アヌビスは生みの母ネフティスに捨てられてしまうが、オシリスの妻であるイシスに拾われ育てられた。ただしこれは後から出来た神話で、本来は太陽神レーの四番目の息子とされていた。

元々は単純な冥界神、あるいは冥界の番犬(番人)のような神格だったと思われるが、複雑なエジプトの神話体系に取り込まれることによってその役割も細分化した。マートの「真実の羽」と死者の魂を天秤にかけて計量する仕事や死んだファラオのミイラに命を吹き込む仕事はアヌビスの役割とされる。また医学や薬術に長けており、オシリスがセトに殺害された時に、その身体に布を巻いてミイラにしたという神話からミイラ作りの神としてミイラ職人に崇拝されていた。また墓地の守護神としても信仰され「聖なる土地の主」と称された。

冥府へ死者を導くことからギリシャのヘルメスと同一視され、「ヘルマヌビス」と呼ばれることああった。黒いジャッカル或いはイヌの頭を乗せた黒っぽい皮膚の男、或いは単純に犬の姿で表される。

関連項目

キーワード

参考文献

  • 01
    西洋神名辞典 DICTIONARY OF GODDESSES AND GODS
    • 監修:山北篤
    • 著者:稲葉義明、桂令夫、他
    • 発行者:高松謙二
    • 発行所:株式会社新紀元社
  • 03
    幻想動物辞典 DICTIONARY OF THE MONSTER
    • 著者:草野巧
    • 編集:株式会社新紀元社編集部
    • 発行者:高松謙二
    • 発行所:株式会社新紀元社
  • 04
    悪魔辞典 DICTIONARY OF DEMONS AND DEVILS
    • 監修:山北篤、佐藤俊之
    • 著者:桂令夫、佐藤俊之、他
    • 発行者:高松謙二
    • 発行所:株式会社新紀元社
  • 07ヴィジュアル版
    世界の神話百科『東洋編』 エジプトからインド、中国まで
    • 監修:近藤二郎、中村忠男、前田龍彦
    • 著者:レイチェル・ストーム
    • 翻訳:山本史郎、山本泰子
    • 発行者:成瀬雅人
    • 発行所:株式会社原書房
  • 30Truth In Fantasy 64
    エジプトの神々
    • 著者:池上正太
    • 発行者:高松譲二
    • 発行所:株式会社新紀元社

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