菩薩(Bodhisattva)の一。サンスクリット名を「クシティガルバ(Kṣitigarbha)(Kṣitigarbha)」といい、音写では「 乞叉底蘗婆(きしゃていぎゃば)」等と記し、「地蔵」はこの意味訳で「大地を包蔵する」という意味を持っている。「地蔵尊(じぞうそん)」、「地蔵薩埵(じぞうさった)」などの名称でも呼ばれる。罪と業に苦しむ全ての生きる者を苦難から救い、幸せにすることを悲願としている。また、地獄に落ちた人々の身代わりになって痛みや苦しみを受けるという「代受苦」の菩薩(Bodhisattva)とされている。仏教では生前の業が消えない限り命ある者は例外なく「六道(ろくどう/りくどう)」と呼ばれる六つの迷いの世界の間で生死を繰り返す。地蔵菩薩(Kṣṭitigarbha)はこの六道全ての教化に務める菩薩(Bodhisattva)とされ、各道ごとに名前の違う六種の地蔵菩薩(Kṣṭitigarbha)が表れるとされる。これは総称して「六地蔵」と呼ばれる(下表参考。ただし文献によって各地蔵の名称は異なる)。俗信では小児の成長を守り、もし夭折した時はその死後を救い取ると信じられた。普通、頭をまるめた僧形で表され、宝珠を持ち、平安中期以降は宝珠と錫杖を持つ姿が一般化し、多く石に刻まれて路傍に建てられ、民衆とのつながりが強まった。その救いや霊験、形、置かれた地名などによって、親子地蔵、子安地蔵、腹帯地蔵、疣地蔵、火焼地蔵、雨降地蔵、とげぬき地蔵、延命地蔵などの名がある。 胎蔵界現図曼荼羅では菩薩形で赤い身色で赤蓮華座に坐し、右手に日輪を掲げ持ち、左手は宝幢幡の立った蓮華を握り腰に当てる姿で表される。二十五菩薩の一尊としては「無辺身菩薩(むへんしんぼさつ)」の名で右手に錫杖を持ち左手に宝珠を乗せ蓮の上に座る、あるいは立った姿で表される。真言は「曩莫三滿多沒馱喃訶訶訶素怛弩娑嚩」(地蔵菩薩真言・T0852)、「曩莫三滿多沒馱喃訶訶訶尾娑麼曳娑嚩賀」(地藏菩薩真言・T0852) 地蔵菩薩 1804 藤原行秀 写 「十王寫(じゅうおううつし)」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 十王図の第五幅に閻羅王の本地として描かれたもの。
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