ユミル

北欧神話において世界を形作る材料となった原初の巨人。最初、世界には大地も海もなく、北の半分は凍てつく氷の世界「ニブルヘイム」、南の半分は灼熱の火の世界「ムスペルスヘイム(Muspellsheimr)」に覆われていた。この二つの世界の境界線で、ムスペルスヘイムの炎がニブルヘイムの氷を溶かした時の雫からユミル(Ymir)は生まれた。同時に原初の牝牛「アウズフムラ(Audhumbla, Audumla)」も生まれ、ユミル(Ymir)はアウズフムラ(Audhumbla, Audumla)の四つの乳房を飲んで育った。次いで生まれた巨人ブーリ(Buri)とユミル(Ymir)はそれぞれ子供を産み、その内のブーリ(Buri)の息子ボル(Borr, Bör)とユミル(Ymir)の娘ベストラ(Bestla)は結婚して3人の子供をもうけた。これが最初のアサ(Æsir)神族、オーディン(Ōðinn, Odin)とヴィリ(Vili)とヴェー(Vé)である。 三人はすぐさま巨人達に戦いを仕掛け、ユミル(Ymir)を殺すと「ギンヌンガガップ」と呼ばれる巨大な大地の割れ目に落とし、ユミル(Ymir)の体から大地を創った。ユミル(Ymir)の血は海や川となり、骨は山に、歯は岩に、頭蓋骨は天蓋に、髪の毛は木や草となり、脳みそは雲になったという。また、人間の世界「ミズガルズ」はユミル(Ymir)のまつげと眉毛で周りを囲まれ、外界(ウトガルズ)と隔絶された。

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