八岐大蛇

記紀神話に出て来る、身が一つで頭と尾が八つある大蛇にして邪神。「八俣遠呂智」とも書く。出雲国(島根県)の簸河(ひのかわ=斐伊川)の上流にいたが、足名椎(あしなづち)、手名椎(てなづち)夫婦の七人いた娘を毎年一人ずつ、六人まで食べてしまった。そして最後の一人である、櫛名田比売の順番がやってきたが、そこに、姉である天照大御神に高天原(天上界)から追放された須佐之男命がやってきて八岐大蛇を退治することになった。須佐之男命は八岐大蛇の八つの口からすべて酒を飲ませて泥酔させ、八岐大蛇が眠っている間にすべての頭と尾を切って退治した。最後の尾を切る時に天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)がしっぽの中から出現したという。この話は大和民族と簸河周辺に住んでいた産鉄民との戦いを模したものだと考えられている。簸河とはつまり緋河であり、緋色は砂鉄の色である。尾から出てきた天叢雲剣も、大和民族が産鉄民を屈服させて得た鉄器鉄具の比喩だと考えられる。 実は八岐大蛇は殺されずにほうほうのていで逃げ出して、滋賀、岐阜県境の伊吹山の神となり、土地の長者の娘と契って出来た子供が酒呑童子になったという伝説もある。両者ともに酒に酔ったところを殺されたという共通点がある。

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