トラウィスカルパンテクートリ

アステカにおける破壊神。名前の原義は「曙の主」。明けの明星たるケツァルコアトル(Quetzalcoatl)と宵の明星たるショロトル(Xólotl)の化身とされる金星の神。古代メキシコでは、金星の光は負傷をもたらすものと考えられ、この星の出現を人々はひどく恐れた。彼は槍投げ器で激しく燃え盛る光線を投げつける姿で書かれる。あらゆる災い、破壊をもたらす者とされた。穀物の不作、戦争での敗北、王族に加えられる危害、女たちの危機など、全ての災いは金星(=トラウィスカルパンテクートリ(Tlahuizcalpantecuhtli, Tlauixcalantecuhtli))に起因するものと信じられ、そのためアステカでは金星の運行が熱心に研究された。太陽神トナティウ(Tonatiuh)が天に登った時、この太陽は神々にいけにえを求めた。トラウィスカルパンテクートリ(Tlahuizcalpantecuhtli, Tlauixcalantecuhtli)はこれにひどく腹を立て、太陽に向かって災いの光線を放った。しかしこの光線は太陽には無力であり、逆に彼は自分の放った矢で頭蓋を刺し貫かれてしまい、その瞬間から彼は石と冷気の神(イツトラコリウキ(Itztlacoliuhqui))に変えられてしまった。夜明け前が冷え込むのはそのためである。 13ある昼の時間を支配するトナルテウクティン(Tonalteuctin)の12番目であり、暦上では「13のイツクイントリ」は彼の日とされる。 トラウィスカルパンテクートリ(Tlahuizcalpantecuhtli) 1901 「テリェリアーノ・レメンシス絵文書(Codex Telleriano-Remensis)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain トラウィスカルパンテクートリ(Tlahuizcalpantecuhtli) 1898 「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain

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