テレピヌ

ヒッタイト神話における豊穣神。「テリピヌ(Telipinu)」とも。元々は中央アナトリアのあった国ハッティの神だがヒッタイトに信仰が受け継がれた。動植物全ての豊穣、繁殖を司る。父親は気象神タル(Taru)ないし嵐の神テシュブ(Teshub)とされる。ある日、突然テレピヌ(Telepinu)が消えるという事件が起きた。あまりに急いでいて長靴を左右履き違えた。すると地上の全ての生命が枯れて、神さえも飢え渇き、火は燃えず、木々は葉を失い大地は焼けただれる、という大変な事態となった。タル(Taru)は息子が腹を立てて全てのよきものを持ち去って消えてしまったのだと気づいた。神々は総出でテレピヌ(Telepinu)を捜したがいっこうに見つからない。そこでタル(Taru)は老女神ハンナハンナ(Hannahanna)に助言を求めた。ハンナハンナ(Hannahanna)によれば、タル(Taru)その人が自ら労をとってテレピヌ(Telepinu)を捜さなければ見つからないと述べた。しかしタル(Taru)はすぐに捜索をあきらめ腰を下ろしてしまうありさまだった。そこでハンナハンナ(Hannahanna)は配下の蜜蜂にテレピヌ(Telepinu)を探し出し手足を刺して目を覚まさせて連れ帰ってくるように命じた。ついに蜜蜂は野に寝ているテレピヌ(Telepinu)を見つけ出し、言われた通りにテレピヌ(Telepinu)を刺した。するとテレピヌ(Telepinu)は猛烈に怒り狂い、人間や牛や羊を手当たり次第に殺しまわった。結局テレピヌ(Telepinu)はカムルセパス(Kamrusepas)の唱える魔法の呪文によってやっと怒りを鎮め、鷲の背にのって故郷に帰り、全ては元に戻った。

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