アフリカ北部、チュニス湾に臨む古代都市カルタゴで重んじられた豊穣の女神。もとはリビアで信仰されていた神だったらしい。処女神であるとともに大地母神であるともいわれる。豊穣を司るとともに、死後の世界を守る神でもあった。カルタゴはフェニキア人の植民都市であったため、基本的にはフェニキアの神々が信じられていたが、タニト(Tanit)は例外でありカルタゴの独自の神の一人である。ギリシア神話のアルテミス、ヘラなどと関連性を指摘される神である。カルタゴが西アジアのフェニキアから受け継いだ風習に人身御供があり、カルタゴでは特に幼児を生贄にする習慣があった(幼児の中でも男子の第一子が好まれたという説もある)。初期においてはこの生贄はバール・ハモン(Ba'al Hamon)に捧げるのが一般的だったが、タニト(Tanit)女神が重要視されるとともにバール・ハモン(Ba'al Hamon)とタニト(Tanit)双方に捧げられるようになった。
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