島根県隠岐諸島の島後にある「玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)」の主祭神とされる神。「玉若酢大明神(たまわかすだいみょうじん)」とも呼ばれる。隠岐独自の神で「古事記」や「日本書紀」などには登場しないうえ、名義も明らかではない。「日本三代実録」の貞観十三年(871年)閏八月廿九日の隠岐国のくだりに「正六位上蕤若酢神」との記述があり、「蕤(草が花の重みで垂れ下がるさま、あるいはひも状に垂れ下がり飾り)」が「たま」と読むのであればこれが文献上初出となる。また「隠州視聴合紀(1667年)」には隠地郡の項に「正三位 蓮如本(="⿺辶苯"のような字か)若酢明神」との表記が見える。鈴木重胤は「若酢(わかす)」について「若須勢理比売命(わかすせりひめのみこと)」の略ではないかとしている。また水若酢命との名前の類似が見られるので両神は親縁関係にあるか、あるいは同じものを象徴する神ではないかと推察される。現在、玉若酢命神社は玉若酢命を主祭神として他に大己貴命(→大国主神)、須佐之男命、稲田姫命(→櫛名田比売)、事代主神、須勢理毘売を配祀する。
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