中国、山東省の泰山に住み、人の生命や禍福をつかさどるとされる神。「王岳の中心である東岳泰山の偉大な帝王」。「太山府君」とも書く。また単に「泰山」とも称される。「東岳太帝(Dongyue Dadi)」とも呼ばれる。祖父の玉皇大帝(Yù-huang dà-di)を補佐し、人間の賞罰や生命を司り、地上と来世の全てを管理する泰山府(役所)の長である。泰山府は75の部門に分かれており、その中にはあらゆる生き物の誕生と死の時を定める部門もあれば、人々の社会的地位を司る部門、富を司る部門などがあるという。泰山府に務める役人は死者の魂とされる。通常皇帝の衣装をまとい座った姿であらわされる。中国神話に端を発し、また道教の神であるが、仏教と習合して、閻魔(Yama)の侍者とも、地獄の一王ともされ、また、十王の第七太山王とも混同されるなど、道仏二教で尊崇されるようになった。わが国にも古くから伝えられ、ことに平安時代には、延命・除魔・栄達の神として崇信された。なお、比叡山にある赤山明神はこの神であるといわれ、同じく冥界の支配者であることから須佐之男命や大国主神のこととされ、あるいは本地垂迹説でこの神の本地は地蔵菩薩(Kṣṭitigarbha)であるともいう。
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