「出雲国風土記」に登場する雨乞いの神。「たきつひこのみこと」とも読む。阿遅鋤高日子命(→阿遅鉏高日子根神)と天御梶日女命の間に生まれた子神。出雲国風土記に拠れば、天御梶日女命が多宮村(たくむら=現在の出雲市多久町付近)に来た時、「神名樋山(かんなびやま)」にいる、先祖である石神が見える場所だったのでここで多伎都比古命を産んだという。またこの石神はいわば多伎都比古命の御魂であり、日照りの時に雨乞いをすれば必ず雨を降らせてくれたという。この神名樋山とは現在の大船山であり、石神とされる石は現在「烏帽子岩(えぼしいわ)」と呼ばれている。 島根県出雲市多久町にある式内社「多久神社(たくじんじゃ)」に母神の天御梶日女命とともに祀られている。また式内社の「多伎神社(たきじんじゃ)」では須佐之男命、多岐都比売命とともに祀られているが、これはおそらく多岐都比売命が元々の主祭神であり、後に音の類似から合祀されるようになったものと思われる。
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