青面金剛

日本仏教において独自に発展した、庚申講の本尊とされる仏尊。「陀羅尼集経」第九巻の「大青面金剛呪法」に拠れば、五方の五帝薬叉のうち東方の青帝薬叉神を「青面金剛」と称する。道教において庚申の夜に体内に棲む「三尸虫(さんしちゅう)」が、本人の睡眠中に天帝にその罪科を報告しに行くとされ、庚申の夜は慎しみ、眠らずに過ごさなければならないとされた(=庚申待(こうしんまち))。大青面金剛呪法は伝尸病(肺結核のこと)を除く秘法とされ、この「伝尸」が「三尸」と音や字が似ているために結び付けられるようになったと考えられる。 像容は大青面金剛呪法に拠れば三目四臂で青色の身色、目は赤く火焔色の怒髪、左手に三股叉、棒を、右手に輪、羂索を持ち、身体中に蛇をまとい髑髏を頂くか或いは瓔珞とする。また両足で二鬼を踏みしめ、左右に二童子、四薬叉が侍るとされる。日本各地に庚申塔として彫られた青面金剛の石碑が遺っているが、作例としては六臂像が多く、また「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が下部に刻まれる例が多い。色々なバリエーションがあり、上部左右に日月を置くもの、四臂ではなく六臂や二臂のもの、二羽の鶏を配すものなどがある。また持物として弓や矢、剣を持つ例もあるほか、半裸の女性の髪を持って吊り上げるもの(「ショケラ」と呼ばれることがある)も見られる。

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