メソアメリカ、アステカにおいて、宵の「明星」たる金星を象徴する神。名前は「犬のような動物」を意味し、一日の終わりに太陽を暗闇へと押し下げる役目をになっていた。明けの「明星」としての金星を象徴するケツァルコアトル(Quetzalcoatl)=トラウィスカルパンテクートリ(Tlahuizcalpantecuhtli, Tlauixcalantecuhtli)の化身、ないし双子の兄弟とされる。アステカの20ある暦日(センポワリ)の17番目「オリン(Ollin=動き・地震の意)」を司る。また祭祀暦において第16週のコスカクアウートリ週を司り、「4のエヘカトル」、「1のオリン」、「5のマサトル」、「2のカリ」はショロトル(Xólotl)を祀る祭日とされた。 人間の体に犬の頭を持ち、眼は大きくギラつき、足は後ろ向きに彎曲した姿で表現され、異形と不幸の神とされた。その目は改悛のしるしと解釈されている。創世神話のひとつによれば、第4の太陽の時代に生きていた人々の骨を拾い集めるために地下世界ミクトランに向かうケツァルコアトル(Quetzalcoatl)の相棒として道案内をした。また他の神話によれば、ショロトル(Xólotl)が神々の元に持ち帰った骨に血を振り掛けるとそこから男児と女児が生まれ、ショロトル(Xólotl)は二人にアザミのミルクをあげて育て、やがてこの二人は今の人間の祖となったという。ショロトル(Xólotl)は、伝説に登場するチチメカの指導者の呼称でもある。 ショロトル(Xólotl) 1901 「テリェリアーノ・レメンシス絵文書(Codex Telleriano-Remensis)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain ショロトル(Xólotl) 1898 「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain
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