シャンルン

チベット仏教における独自のチョキョン(=護法神=ダルマパーラ(Dharmapala, Dharmapāla))の一種。「シャン(Zhang)」は(国王を補佐した)外戚、「ルン(Blon, Lön)」は大臣を意味し、総じて国王の補佐をした者達の総称だが、護法尊の名前ともなった。シャンルン(Zhang blon, Zhanglön)はヌージン(=ヤクシャ(Yakṣa))に属するとされ、このため「ヌージン・シャンルン(gNod sbyin zhang blon, Nöjin zhanglön)=ヤクシャ(Yakṣa)のシャンルン」とも呼ばれた。また別名を「デプン・ドルジェドゥートゥル(sDe dpon rdo rje bdud 'dul, Depön dorjé dündül)="金剛伏魔将軍"の意」といい、魔(ドゥー)、つまりマーラ(Māra)を調伏するヤクシャ(Yakṣa)の大将だと考えられた。また一方でサンギャメンラ(=薬師如来(Bhaiṣajyaguru))のタンカに眷属として描かれたため、病魔を退散させる護法神としても信仰されたことが分かる。 青黒色の身色で忿怒相の一面二臂像で、右手に宝珠か宝棒、左手に宝で満たされた瓶を持ち、供物をささげる妃の「ドルジェ・クントゥプマ(rDo rje kun 'grub ma, Dorjé kündrupma)」を伴う姿で描かれる。またドルジェ・クントゥプマのほかにも「ノルラ(Nor lha, Norlha)」、「グンポ(mGon po, Gönpo)(mGon po, Gönpo)」、「ドクネー('bRog gnas, dRok né)」、ヴァイシュラヴァナ(=毘沙門天(Vaiśravaṇa))などの眷属を伴う場合がある。

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