ヒンドゥー神話における酒神。名前は「搾る」という意味の動詞に由来し、もとは特殊な植物の名(蘇摩)であったものが、この植物から作った新酒もソーマ(Soma)と呼ばれ、ヴェーダ祭祀の最も主要な供物であり、やがてこれが神格化された。神酒であるソーマ(Soma)はおそらく灌木の木を圧搾浄化して造った芳香のある黄褐色の液体であったらしい。植物の長としてその光輝をたたえられ、太陽はソーマ(Soma)の顕現と称される。地上の祭場におけるソーマ(Soma)圧搾浄化の儀式はそのまま天上の宇宙現象を象徴し、浄化の過程で木槽に点滴となって落ちるソーマ(Soma)の滴りは降雨、液の流れる音は雷の響きである。このような象徴的儀式としてのソーマ(Soma)祭は後世の祭式文献においてきわめて重要な祭祀とされ、その次第の細則が規定されている。ソーマ(Soma)の賛歌は「リグ・ヴェーダ」の第9巻を独占している。ブラーフマナおよびその以後の神話では月神チャンドラ(Chandra, Candra)と同一視されるようになった。
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