シンテオトル

アステカにおいてトウモロコシを象徴する神の一柱。マヤではユン・カーシュ(Yum Kaax)の名で知られた。シンテオトル(Cinteotl)は雨神トラロック(Tlaloc)の庇護下にあり、アステカにおいてシローネン(Xilonen)、チコメコアトル(Chicomecóatl)とともに主食であったトウモロコシをもたらす神とされた。その姿は若々しく生気にあふれた若者としてあらわされる。顔面にはくねくねとした無数の線が刻まれ、頭には豊かに実ったトウモロコシの穂を模した派手な冠をつけている。アステカ神話によれば、人間はトウモロコシなくしては存在できないと言う。その人間が存在することを可能たらしめた神がシンテオトル(Cinteotl)であり、ケツァルコアトル(Quetzalcoatl)の化身である。黒アリに変化したケツァルコアトル(Quetzalcoatl)(=シンテオトル(Cinteotl))は、赤アリの貯蔵庫に忍び込みトウモロコシの種を盗み出した。その種が人間を存在させる元になったという。 シンテオトル(Cinteotl) 1898 「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain シンテオトルとチコメコアトル(Cinteotl and Chicomecóatl) 1898 「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain トウモロコシを司る男神シンテオトル(左)と女神チコメコアトル(右)

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