エジプトにおける悪神で争いと渾沌をもたらす神。「ステク(Sutekh)」とも呼ばれる。エジプトの他の神によく見られるように獣頭神で、黒豚やカバ、ワニの頭を持っているとされることもあるが、本来セト(Set, Seth)の頭についている動物は謎とされており、普通「セト(Set, Seth)の動物」と表現される。その形は犬や狐のようだが鼻の部分は鳥のクチバシのように長くなっており、耳は角張っている。 もともと夜の闇を支配する戦闘の神であり、太陽神レー(Re)が天空を航海する時はセト(Set, Seth)が船の先頭にたってアポピス(Apophis)と戦ったという。ゲブ(Geb)とヌート(Nut)の間に生まれた神で、オシリス(Osiris)やイシス(Isis)の弟であり、ネフティス(Nephthys)は双子の妹でかつ妻である。兄オシリス(Osiris)の持つエジプト王位を奪うためにオシリス(Osiris)を騙して箱に詰め、ナイル川に投げ捨てたが、イシス(Isis)がそれを見つけオシリス(Osiris)を隠匿した。それに見つけたセト(Set, Seth)はオシリス(Osiris)の遺体を14に分けエジプト各地にばらまいてしまう。結局オシリス(Osiris)はイシス(Isis)の尽力により蘇った。それからセト(Set, Seth)の悪意の矛先はオシリス(Osiris)の息子であるホルス(Horus)に向けられたが、ホルス(Horus)はセト(Set, Seth)を打ち負かしてしまった。若いホルス(Horus)がセト(Set, Seth)を圧倒できたのはオシリス(Osiris)が時々冥界から戻ってはホルス(Horus)に戦いの仕方を教えていたからであるとされる。その後セト(Set, Seth)はホルス(Horus)と神々の王権を争ったが、オシリス(Osiris)の口添えもありホルス(Horus)が王権を勝ち取った。しかしセト(Set, Seth)の強大な力を恐れた神々はネイト(Neith)の提案によりアナト(Anat, Anath)とアスタルテ(Astarte, Astarete)を妻として与え彼を慰めたという。
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