チベット仏教におけるバイシャジャグル(薬師如来(Bhaiṣajyaguru))。「メンキラ(sMan gyi bla, Mengyila)」とも呼ばれる。チベットでは薬師如来(Bhaiṣajyaguru)の経典である「薬師経」自体を本尊とする「メンラドチョク(sMan bla mdo chog, Menla dochog)」(="薬師経法")が盛んに行われた。メンラドチョクに用いられる曼荼羅は、薬師経の経巻を中央本尊とし、その周囲に薬師如来(Bhaiṣajyaguru)を含む七仏薬師と釈迦如来の八尊(いわゆる"薬師八仏")を配し、その外側は「ニマイオー(Nyi ma'i 'od, Nyimeö)」(=日光菩薩(Sūrya-prabha))・「ダオー(zLa 'od, daö)」(=月光菩薩(Candra-prabhā))やヌージン・キ・デポンチュニー(gNod sbyin gyi sde dpon bcu gnyis, Nöjin gyi dépön chunyi )(=十二神将)といった脇侍、眷属を配する。七仏薬師は「メンラ・チェードゥン(sMan bla mched bdun, Menla ché dün)」("メンラ=薬師の七兄弟"の意)と呼ばれ、また薬師八仏は「メンラ・チェーギェー(sMan bla mched brgyad, Menla ché gyé)」("メンラ=薬師の八兄弟"の意)と呼ばれる。サンギャメンラ(Sangs rgyas sman bla, Sangyé menla)の像容は青色か緑色の身色で右手にアルラと呼ばれる薬を持ち左手は膝上に横たえ禅定印にし鉢を持つ姿であらわされる。アルラは丸薬か薬草の枝として表現される。
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