ルドラ

「リグ・ヴェーダ」に登場する暴風神で、シヴァ（Siva, Shiva, Śiva）の前身。名前は「ほえるもの」、ないし「赤きもの」を意味する。モンスーンが神格化された存在であるルドラ（Rudra）は、火神アグニ（Aguni）の破壊的な側面と結びついていく。ヒンドゥー教の聖典集である「プラーナ」によれば、ルドラ（Rudra）は怒ったブラフマー（Brahma, Brahmā）の額から生まれ出たという。ルドラ（Rudra）は病の矢を神々や人間や動物に放ったが、その医薬の力によって、多くの人々に健康と恵みを与えた。 プラジャーパティ（Prajapti）が暁の女神ウシャス（Ushas, Uṣas）と近親相姦の関係になったとき、ルドラ（Rudra）はプラジャーパティ（Prajapti）に向かって矢を放とうとしたが、プラジャーパティ（Prajapti）はルドラ（Rudra）を動物の王にすると約束したのでプラジャーパティ（Prajapti）は助かった。ルドラ（Rudra）は牡牛の姿で描かれ、次第に、シヴァ（Siva, Shiva, Śiva）の破壊的側面をあらわす暗黒の神として見られるようになる。またルドラ（Rudra）はインドラ（Indra）の仲間であるマルト神群の父とみなされる。