ラジエル

キリスト教・ユダヤ教における天使の一人。名前は「神は私の喜び」ないし「神の秘密」、「秘儀の天使」を意味する。「ラツィエル(Ratziel)」や「サラクアエル(Saraqael)」はラジエル(Raziel, Rasiel)の別称とされる。またラグエル(Raguel)の別名「アクラシエル(Akrasiel)」やサリエル(Sariel)の別名「スリエル(Suriel)」もラジエル(Raziel, Rasiel)の別名とされることもある。また「ガリズル(Gallizul, Galizur, Gallizur )(Gallizur)」もラジエル(Raziel, Rasiel)の別名とされることがある。御前の七天使(Seven Angels of Presence)のうち、特定されていない3人の候補の一人。天界と地上における全ての秘密を知っているとされ、それを1500項目に渡ってまとめた書物「セファー・ラジエル(Raziel, Rasiel)(Sefar Raziel)」を携えているとされる。このラジエル(Raziel, Rasiel)の書は宇宙の全てを網羅し、奇跡や魔術を可能にするとされているが、ラジエル(Raziel, Rasiel)だけが分かる秘密の文字で綴られており、人間はおろかラジエル(Raziel, Rasiel)以外の天使にさえ解読は不可能とされている。 ラジエル(Raziel, Rasiel)はエデンの園を追われたアダムとイブに同情し、この書をアダムに与えた。その後嫉妬に駆られた天使たちによって書は奪われ海に捨てられてしまったが、海を支配する天使ラハブ(Rahab)が神の命によって探し出し、無事にアダムに返された。その後エノクが「エノク書」を書くために利用され、次いでノアが箱舟を作るためにこの書を手にした。またその後アブラハムの手に渡り、その一部がエジプトで教えに用いられ、文明の進歩に一役買ったとされる。またまたダヴィデの手を経て最後にはソロモン王がこの書を手にした。ソロモンが人間を超越した魔術師となったのもこのラジエル(Raziel, Rasiel)の書によるところが大きいと言われている。ソロモンの死後この書がどこにいったかは分かっていない。カバリスト達は「セファー・ラジエル(Raziel, Rasiel)」がカバリズムの根本経典だったのではないかと考えている。

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