ローマ神話における田園の神。サトゥルヌス(Saturnus)の息子で、妻はポモナ(Pomona)、あるいはニンフのカネンスであるとされる。名前はラテン語で「きつつき」という意味で、ピクス(Picus)は変身することができ特にマルス(Mars)の聖鳥であるキツツキに変身するのを好んだ。別の説では魔女神キルケの求愛を退けたためにキルケにキツツキに変えられてしまったという。いずれにしてもキツツキの鮮やかな色の羽毛はピクス(Picus)の身につけていた衣装の名残とされる。予言の力も持っており、マルス(Mars)の神殿の木の柱にとまって神託を下したという。未来のこと、特に天気を予言する力を持つと信じられ、畑と家畜の守護者として、農民や牧人に崇拝された。 伝説によれば、ピクス(Picus)は息子であるファウヌス(Faunus)とともにローマの第二皇帝ヌマ・ポピリウスに捕まったことがある。ヌマ・ポピリウスはエゲリア(Egeria)から知恵を授かり、ピクス(Picus)らが水をのみにくる泉のほとりにぶどう酒を置いた。二人は酔っ払い簡単につかまってしまった。ピクス(Picus)らは様々に変身して王を動揺させようとしたが通じず、やむなくユピテル(Jupiter)を天から降ろす方法を王に教えた。こうして王は神の投げる稲妻の避け方や供物の捧げ方を聞き出した。ユピテル(Jupiter)は人間一人捧げるように求めたが、懸命な王はニンニク、人間の髪、生きた魚でこれを済ませたという。 またピクス(Picus)はレムスとロムルス(伝説中のローマの祖)を育てた牝狼(マルス(Mars)の聖獣)を助けたり、東イタリアの民族移動の先導になったと伝えられる。
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