オメテクートリ

メソアメリカ中央部における観念的な神「オメテオトル（Ometeotl）」の男性的側面。「シトラトナ（Citlatona）」、「トナカテクートリ（Tonacatecuhtli）」等の呼称も持つ。オメシワトル（Omecíhuatl）の男性配偶神とされる。初期の創造神であり、遠隔地からの力と考えられていた。配偶神のオメシワトル（Omecíhuatl）と共にアステカの13層ある宇宙の最高層「オメヨカン（Omeyocan）＝２つのものの場所」にすみ、アステカの20あるセンポワリ（暦日）の一番最初の日「シパクトリ（ワニの意）」の守護神とされた。 オメテクートリ（Ometecuhtli）とオメシワトル（Omecíhuatl）の息子達は大地の四隅、つまり四方位であり、彼らは次のように色と結びついている。北＝黒のテスカトリポカ（Tezcatlipoca）、南＝青のテスカトリポカ（Tezcatlipoca）（＝ウィツィロポチトリ（Huitzilopochtli））、東＝赤のテスカトリポカ（Tezcatlipoca）（＝シペ・トテックないしカマシュトリ（Camaxtli））、そして西＝白のテスカトリポカ（Tezcatlipoca）（＝ケツァルコアトル（Quetzalcoatl））。「食料の神」としてのオメテクートリ（Ometecuhtli）であるトナカテクートリは、ケツァルコアトル（Quetzalcoatl）とテスカトリポカ（Tezcatlipoca）が第5の太陽（今現在の太陽）の創造を手伝ったことに対する報酬として、この2神を天空と星の神にした。 トナカテクートリ（Tonacatecuhtli） 1898 「ボルギア絵文書（Codex Borgia）」より ロストック大学図書館（Universitätsbibliothek Rostock）蔵 Copyright: public domain トナカテクートリとトナカシワトル（Tonacatecuhtli and Tonacacihuatl） 1898 「ボルギア絵文書（Codex Borgia）」より ロストック大学図書館（Universitätsbibliothek Rostock）蔵 Copyright: public domain 神々の祖である男神トナカテクートリ（左）と女神トナカシワトル（右）