ヌァザ

ケルト神話における主神。ネヴィン（Nemain）を妻とする。トゥアハ・デ・ダナーン（Tuatha De Danann）（ダーナ神族）の長。フォモール（Fomor）族との最初の戦いにおいて右腕を失い、「体の不自由な者は王になれない」という掟に従ってブレシュ（Bres）王位を去ったが、治癒の神ディアンケト（Dianceht）に銀で出来た義手をつけてもらったことで王位に返り咲いた。このことからヌァザ（Nuada）は「銀の腕のヌァザ（Nuada）（ヌァザ（Nuada）・アグラドラーヴ＝Nuada Airgetlamh）」と呼ばれるようになった（この二つ名はヌァザ（Nuada）の持つ剣を意味するという説もある）。 ヌァザ（Nuada）は銀製の義手に満足せずディアンケト（Dianceht）の息子であるミアフに代替品となる義手を作らせた。この義手は血を肉から出来ており、本物の腕と退色なかった。これに嫉妬したディアンケト（Dianceht）は息子ミアフを殺してしまう。こうしてヌァザ（Nuada）は右手と王位を取り戻したが、フォモール（Fomor）族の血を引くブレシュ（Bres）が引き金となり、第二のフォモール（Fomor）との戦いが引き起こされる。ヌァザ（Nuada）はこの戦いに備え光の神ルー（Lugh）に王位を譲り、死を覚悟して戦いに臨んだ。ヌァザ（Nuada）はフォモール（Fomor）族の首領バロール（Balor）、あるいはその配下の竜クロウ・クルーアッハによって殺されたとされている。ブリタニアでは「ノデンス（Nodens）」、ウェールズでは「ニーズ（Nudd）」、ブリトン人には「リーズ（Llud）」の名で知られていた。