エジプト神話において原初の混沌の海を人格化した存在。ギリシア神話のカオスに相当する。全ての神と世界はヌン(Nun)を根源とするとされる。ヌン(Nun)は球形で全ての生物や物質の素が溶け込む淀んだ水の姿をしていたとされる。まず創造神アトゥム(Atum)が自らの意思でヌン(Nun)より浮かび上がって誕生し、その後に生まれる全ての基礎を作り上げた。また太陽神であるレー(Re)もヌン(Nun)から生まれたとされることもある。ヘリオポリスでは単身で信仰されたヌン(Nun)だが、ヘルモポリスではナウネトという妻と一対で原初の水を象徴していると考えられた。男性、もしくは蛙の頭を持った人間の姿でも表される。頭には二本の羽、もしくは自分の名を表す三つの水がめが台に置かれたヒエログリフを頂く。
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