エジプト神話において神々の母とされる大母神。「メフエレト(Mehueret)」とも呼ばれる。元々は下エジプトのデルタ地帯にある第5ノモスの州都、サイスで信仰されていた女神であり、鰐の神セベク(Sebek)や渾沌と闇の蛇アポピス(Apophis)などといった怪物の母親とされた女神だったが、やがて全ての神々の母、特にレー(Re)の母親とされるようになった。戦いと家庭を司る女神であり、機織で世界を織る女性としてイメージされた。機織はネイト(Neith)の発明とされる。また戦いにおいてはファラオの敵を排斥し自ら先頭に立ち兵士達を導く女神だとされ、交差した矢のついた盾によって象徴される。このことから戦端を切り開く神であるウェプワウェト(Wepwawet)や、武力を司るセト(Set, Seth)などと関連視される。ウェプワウェト(Wepwawet)が冥界の神でもあることから、ネイト(Neith)も死者の守護神とされ、冥界に到着した死者に食べ物や飲み物を与えている姿で描かれることもあった(またネイト(Neith)は機織と関連してミイラの包帯を織る女神でもある)。その姿は女性、あるいは背に翼が生えた女性で、一般的に下エジプトの赤い冠を戴き、手に弓矢や盾を持った姿で描かれる。また雄牛の姿で描かれることもあった。その生成力と関連して空を生んだ天牛に見立てられることもある。
ページにリダイレクトします。