弥勒菩薩

サンスクリット語では「マイトレーヤ(Maitreya)」と呼ばれる。インド神話には登場しない、仏教独自の神格。その名は「慈(いつくしみ)から生じた者」と訳されるが、その語源はインドの神ミトラ(Mitra)を元にしているとも考えられている。「弥勒慈尊(みろくじそん)」、「慈尊(じそん)」、「慈氏菩薩(じしぼさつ)」、「梅呾利(まいたり)」、「梅呾利耶(まいたりや)」、「梅呾利曳那(まいたりえいな)」などの名称でも呼ばれる。実在の釈迦の弟子であったともされる。 悟りを求め修行し、他のものも悟りに到達させようと勤める者、つまり菩薩(Bodhisattva)であるが、未来においては必ず如来(悟りに至ったもの)になり、釈迦の入滅後56億7000万年に釈迦の後継者になるという。それまでは欲界の六欲天の第四天であるツシタ(兜率天)の内院を住処とし、天人のために説法している。このため「未来仏(みらいぶつ)」と称されることもある。中国や日本では未来の姿である如来形で表されることもあるが、たいてい菩薩形で表される。 金剛界曼荼羅では賢劫十六大菩薩の一尊として檀外の東方(下側)の4尊のうち北(右)から一番目に配される。また胎蔵界曼荼羅では中台八葉院の東北方(左上)に配される。 真言は「南麼三曼多勃馱喃(なうまくさまんだぼだなん)阿爾單若耶(あにたんじゃや)薩婆薩埵捨耶弩蘗多(さらばさとばしゃやとぎゃた)莎訶(そわか)」(T0848) 弥勒菩薩 1804 藤原行秀 写 「十王寫(じゅうおううつし)」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 十王図の第六幅に變成王の本地として描かれたもの。

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