アステカにおいてマゲイないしリュウゼツラン(アガペ・アメリカーナ)、またそれから醸造されるプルケ酒の女神。センツォントトチティン(Centzóntotochtin)("酩酊する無数の神々")の「母親」。センツォントトチティン(Centzóntotochtin)を養うために400の乳房を持つと考えられていた。配偶神のパテカトル(Patecatl)とともに「過剰な飲酒」を司る。アステカの20ある暦日(センポワリ)の8番目、トチトリ(ウサギ)の日の守護神であり、「セ・トチトリ(1のウサギ)」の文字で表現される。 神話によると、トウモロコシをはじめとする食用植物を地上にもたらした神々が、そのあとに自分達を人間が称えたり踊ったり歌ったりするための(また人間の快楽のための)何かが必要だと考えた。そこでケツァルコアトル(Quetzalcoatl)はエヘカトルの姿となって、若く美しい処女マヤウェル(Mayáhuel)に、「始祖母」ツィツィミトル(Tzitzimitl)に監視された空の住み家を離れて、自分と地上に降りてほしいと口説いた。二人は恋仲となり、抱き合って2本の絡まり合った枝を持つ木となった。こうして結ばれた二人に激怒し、ツィツィミトル(Tzitzimitl)は木を二つに引き裂き、マヤウェル(Mayáhuel)の枝を壊し、その破片を手下の精霊ツィツィミメ(Tzitzimime)に食べさせてしまった。無事だったエヘカトルはやがて元の姿(ケツァルコアトル(Quetzalcoatl))に戻ると、マヤウェル(Mayáhuel)の骨を拾い集めて畑に植えた。これが成長してマゲイになり、プルケ酒が造れるようになったのだという。 マヤウェル(Mayáhuel) 1898 「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵 Copyright: public domain
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