マルス

ローマにおける軍神で、ギリシアのアレスに相当する。ユノ(Juno)がフローラ(Flora)から与えられた奇跡の薬草を使って一人で産んだ息子。英語読みだと「マーズ」。マルス(Mars)の祭礼は3月と5月に行われ、マーチ(March=3月)は彼の名にちなんだもの。3月には神官団サリィが戦争の踊りを舞い、祭礼の歌を歌うが、5月のアムバルウォリア祭では12名の神官団アルウァレスが古歌を歌い、マルス(Mars)に畑地を守るように請う。これはマルス(Mars)が本来農耕神であったことに由来している。ユピテル(Jupiter)、クイリヌス(Quirinus)とともに大フラメン(神官団)の祭祀を受け、元来は三大主神格の一つであったと思われる。 ローマ人にとってマルス(Mars)は自分たちの祖先である。ヴェスタ(Vesta)女神に仕える巫女レア・シルウィアがマルス(Mars)と交わって生まれたのが伝説中のローマの祖であるレムスとロムルスだからだ。この時この双子の赤子を助けた狼とキツツキ(ピクス(Picus))はともにマルス(Mars)の聖獣である。第2代皇帝ヌマ・ポムピリウスの治世の頃、空から落ちてきたローマの命運を象徴する聖なる盾は、11個の複製とともにマルス(Mars)神殿につるされ、これを神官団サリィが守っていた。

ページにリダイレクトします。