孔雀明王

仏教において明王(Vidyārāja)の一。サンスクリットでは「マハーマユーリー(Mahāmayūrī)」、あるいは「マハーマーユ-リーヴィドヤーラージュニー(Mahāmāyūrīvidyārājñī)」といい、「マハー」は「偉大な」といった意味で、「マユーリー」は「孔雀」を意味する「マユーラ(Mayūra)」の女性形である。これを音訳し「摩訶摩瑜利(まかまゆり)」、「摩訶摩瑜利仏母明王(まかまゆりぶつもみょうおう)」また意味訳から「大孔雀明妃(だいくじゃくみょうひ)」、「孔雀王母(くじゃくおうも)」、「孔雀仏母(くじゃくぶつも)」、「仏母大孔雀明王(ぶつもだいくじゃくみょうおう)」、「孔雀王(くじゃくおう)」、などの名で呼ばれる。 クジャクが毒草や毒虫を食するが如く人間の三毒(貪欲・瞋恚・愚痴)を食べ、災厄や苦痛を除くことを本願とする。日本に最も古くから伝えられた明王(Vidyārāja)だと考えられている。元々は女性の神であるが、日本では男性として描かれる。また明王(Vidyārāja)とはされるが忿怒相ととらないため「孔雀王母菩薩(くじゃくおうもぼさつ)」とも称し、胎蔵界曼荼羅の蘇悉地院においてはこの名で南端(左側)より第六位に配される。。像容は普通一面六臂が多く、蓮華、具縁果など4種のものを持ち、孔雀の上に坐し、前述のように明王(Vidyārāja)では唯一忿怒相ではなく慈悲相を示す。 密号は「仏母金剛(ぶつもこんごう)」、種字は「म(ma)」、「यु(yu)」、三昧耶形は孔雀尾、半月、真言は「曩謨諦吒囉囉娑嚩賀(のうまくていたららそわか)」(孔雀王真言・T0864A)、「唵麼庾囉訖蘭帝娑嚩訶(おんまゆらきらんていそわか)」(大孔雀明王真言・T0983A)。

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