金剛王菩薩

密教における菩薩(Bodhisattva)の一尊。サンスクリット名を「ヴァジュララージャ(Vajrarāja)」といい、「金剛の王」と訳せるため「金剛王菩薩(Vajrarāja)」、「金剛王(こんごうおう)」と意味訳するほか「縛日羅羅惹(ばじららじゃ)」などと音写する。「不空王(ふくうおう)」、「妙覚(みょうかく)」、「最上金剛王(さいじょうこんごうおう)」、「金剛鉤(こんごうこう)」、「金剛請引(こんごうしょういん)」といった別称を見られる。金剛薩埵(Vajrasattva)の菩提心の証であり、菩提心を自在に得ることが世間の王に等しいことを持って「金剛王」と称するとされる。胎蔵界曼荼羅の金剛手院において金剛持菩薩(Vajradhara)の侍尊として向かって右下に配するほか、金剛界曼荼羅では十六大菩薩の一尊として東輪阿閦如来(Akṣobhya)の北方(右側)に配される。金剛王菩薩(Vajrarāja)は金剛薩埵(Vajrasattva)の別称として使われることもある。 種字は「」(胎蔵界)、「जः(jaḥ)」(金剛界成身会)、「स(sa)」、「स्व(sva)」(金剛界三昧耶会)、密号は「自性金剛(じしょうこんごう)」、「自在金剛(じざいこんごう)」、「執鉤金剛(しゅうこうこんごう)」、三昧耶形は双金剛鉤。真言は「唵嚩曰羅羅惹弱(おんばざららしゃじゃく)」(羯磨会・T2501)、「阿曩耶娑嚩(あのうやそわか)」(三昧耶会・T2400)、「帰命羯摩吃哩(きみょうかつまきり)」(供養会)。 金剛王菩薩 成身会 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 両手で金剛拳を結び胸の前で交差させる。 金剛王菩薩 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 「金剛王儀軌」に拠る四臂像。身は白色で五仏冠を戴き、右手に箭(矢)、金剛拳で金剛鈴、左手に弓、胸に当て五鈷杵を持つ。 金剛王菩薩 供養会 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 三鈷鉤が二本乗った蓮を両手で持つ。 金剛王菩薩 金剛手院 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 人差し指を立てた両手を胸の前で交差する。 金剛王菩薩 微細会 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 両手を金剛拳にし胸の前で腕を交差させる。

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