狐憑

日本における憑依迷信の一つ。狐の霊が人にとり憑いて異常な状態に導くという。犬神のように家筋につく場合、その家系は「狐筋(きつねすじ)」と呼ばれる。ヒステリー性、発作性の精神病の一種が原因だと思われる。実際に狐になりきったようなしぐさをしたり、色々なことを口走ったりするという。治療には行者や神職者を呼んで、松葉いぶしのような、「狐落し」の呪法などが行われるが、それでも追い出せない場合は死ぬこともあったという。古く平安時代の文献にも現れ、また農村を中心に広く分布したが、狐に対する特異な感覚や信仰の故もあって根強い迷信となり、熱病患者を狐憑と誤って松葉いぶしにしたり、「狐筋」とされた家系は縁組を忌み嫌われたりしたこともあった。

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