「きちじょうてん」とも読む。元々はインド神話に登場する女神「マハシュリー(Mahāśrī)」ないし「シュリー(Śrī)」が仏教に取り入れられたもの。この名前を意味から訳して「吉祥天(Śrī, Mahāśrī)」とする。またマハーシュリーの音を漢字にした「摩訶室利(まかしり)」、あるいは「功徳天(くどくてん)」、「吉祥天女(きちじょうてんにょ)」、「吉祥功徳天(きちじょうくどくてん)」などの名でも呼ばれることがある。吉祥天の元になったシュリーという女神はヴィシュヌ(Visnu)の妻であるラクシュミ(Lakshmi)の別名とされるが、仏教上の吉祥天(Śrī, Mahāśrī)は徳叉迦龍王(Takṣaka)(タクシャカ(Takshaka, Takṣaka))と鬼子母神(Hārītī)(ハーリーティー(Hārītī))の間に生まれた女神で、毘沙門天(Vaiśravaṇa)(ヴァイシュラヴァナ)の妻、ないし妹とされている。 顔かたちが美しく、衆生に福徳を与えるという女神だが、容貌が醜く人の功徳を打ち消してしまうというまったく逆の神格を持つ黒闇天(Kālarātrī)という妹がおり、吉祥天(Śrī, Mahāśrī)を祈願する場合必ずこの黒闇天(Kālarātrī)も供養せねばならないとされる。日本では金光明最勝王経会や吉祥悔過会の主尊としてまつられた例が多く、像容は一般的に宝冠と天衣ないし中国風の衣服を身につけ、右手で施無畏印か与願印を結び左手に如意宝珠を載せた姿で表される。 吉祥天 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 天之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 吉祥天 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 天之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain
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