厠の神

日本の民俗信仰において厠(トイレ)を守護するといわれる神。「厠神(かわやじん/かわやがみ)」、「便所神(べんじょがみ)」、「雪隠神(せっちんがみ/せんちがみ)」、「おへや神」、「閑所神(かんじょがみ)」などの呼び方もある。便所の壺の中にいて、片手で大便を、もう一方の手で小便を受け取るが、唾を吐いた場合は口で受け止めなければならないのでひどく怒るという。また恥ずかしがりやで、便所に入る前は咳払いして合図をしなければならないとされる。お産とも関係が深く、妊婦が美しいこの誕生を祈願して厠を清めたり、臨月に便所にお参りをしてお産が軽く済むように祈願したりする。これは排便の様子がお産の様子に酷似していることから起こった、いわゆる類感呪術の一種と見られる。白い紙で男女の人形を作り、これを厠の神として祀ることが多い。加牟波理入道も厠の神とされる場合もある。また、「厠(かわや)→川原(かわら)」と結びついて、水の神であり伊邪那美命の糞や尿から生まれたとされる波邇夜須毘売神と弥都波能売神の別名ともされる。仏教においては不浄を司るところから烏芻沙摩明王(Ucchuṣma)のこととされる。

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