片輪車

日本の妖怪の一つ。片車輪の小車に一人の美女が乗った姿をしている。見たり、噂をするだけでたたりがあるとされ、これを見た母親が片輪車に子供をとられたという話が「諸国里人談」に載っている。それによれば好奇心に負けて愚かなことをしたと悔いた女は「罪科(つみとが)は 我にこそあれ小車の やるかたわかぬ子をばかくしそ」と書いた紙を戸口に張っておいてところ、また片輪車が現われて子供を返してくれたという。また「諸国百物語」にも同じような話が載っているが、こちらの片輪車に乗っていたのは恐ろしい形相の男であり、口には人の足を咥えていた。片輪車は覗き見した女の家の前に止まると「我の姿を見るより子供の姿をみろ」と叫んだ。女が子供のところに戻ってみると子供は股の辺りから引き裂かれて死んでいて、片足がなくなっていたという。後記の片輪車は石燕の書いた輪入道のモデルとなっている。 片輪車怪(かたわぐるまのくわい) 1806 山東京傳著、一陽斎豊国画「うとう(善知)安方忠義傳」全編六冊巻之五より フランス国立図書館(Bibliothèque nationale de France)蔵 Copyright : public domain 暗夜街を巡り小兒をとりて鮮血をすふ/吐息ほのほを走らす/来去の所をしらず

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