インド神話における愛の神。「カーマデーヴァ(Kāma-dēva)」とも呼ばれる。元々インド思想で「カーマ」とは(正しい)性欲や愛欲、善への衝動を指す言葉で、これが神格化されたもの。原初から存在した観念神であるため普通の神より高位に置かれる。真理の神「ダルマ(Dharma)」と信仰の神「シュラッダー」の子とされるが、ラクシュミ(Lakshmi)の子とされたり、ブラフマー(Brahma, Brahmā)の神像から生まれたとされるときもある。官能の女神「ラティー(Ratī)」を配偶神とし、妖精アプサラス(Apsaras)を支配する。オウムに乗り、5本の花の矢を持ち、花を飾ったサトウキビの弓につがえて人の心を射る。彼はパールヴァティー(Pārvatī)に頼まれシヴァ(Siva, Shiva, Śiva)の苦行を妨げようとしてシヴァ(Siva, Shiva, Śiva)の第3の目によって焼き殺されてしまう。それ以来「アナンガ( Anaṅga="体なき者")」と呼ばれるようになった。また、「マンマサ(Manmatha="心をかき乱すもの")」「マノーブー(Manobhū="心に生じるもの")」、「カンダルパ(Kandarpa="愛欲")」などとも呼ばれる。仏教に取り入られ、愛染明王(Rāgarāja, Mahārāga)に帰化する。
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