イシュチェル

マヤにおける洪水と豪雨の女神。「怒れる老婆」と称される。名前は「虹の貴婦人」を意味する。天界の支配者イツァムナ(Itzamna)あるいはキニチ・アハウ(Kinich Ahau)の配偶神とされる。洪水や豪雨を引き起こす、恐怖すべき神であると同時に、恵みをもたらし出産を司る神でもあった。その頭には絡み合う蛇が巻き付いており、スカートには十字に組んだ骨が刺繍され、周囲には死と破壊の象徴を描いてあらわされる。また完全武装した女戦士の姿で描かれることもある。彼女は怒りが度を越えると天の水瓶をひっくり返して豪雨をもたらし、また「空の蛇」が洪水を起こすのを助ける。マヤ人はイシュ・チェルに対して常に生贄をささげ、気持ちをなだめようとした。生贄をささげることを怠ればイシュ・チェルは暴風雨を引き起こし、人々を殺し、町を破壊すると考えられていた。イシュチェルは織物の神とも考えられ、これは同じくイツァムナが夫とされるイシュ・チャベル・ヤシュ(Ix-chebel-yax)と共通しているため、二神は同一神とも考えられる。 イシュチェル(Ixchel) 「ドレスデン絵文書(Codex Dresdensis)」より ザクセン州立兼ドレスデン工科大学図書館(Saxon State and University Library Dresden)蔵 Copyright: public domain

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