犬神

日本の中国、四国、九州地方でよく見られる、人にとり憑いて害をなすという犬の霊。「イヌガメ」、「インガメ」、「犬外道(いぬげどう)」とも呼ばれる。ネズミやイタチのような小動物の姿をしているが多く目に見えないとされる。人間によって意図的に作られる(降霊される)ことが多く、その人間の意のままに動き、命令によって人に憑く。犬神の作り方として、餓えた犬を首だけ出して土中に埋め、前に餌を置き食べようと首を延ばしたところを刎ねた後、その霊あるいは首そのものを祀る、多数の獰猛な犬を戦わせ、残った一頭に魚をやり、口に咥えたところで首を刎ねその魚を食べる、などの方法が伝わっている。これらは中国の虫を使った呪術、いわゆる「蠱術」の影響が見て取れる。憑かれた人間は意味不明の言葉を口走ったり、四つん這いで歩いたりするという。犬神につかれた家筋は「犬神筋」といい、犬神筋は女系を伝わるので縁組を嫌うが、その家系の者が犬神を祀りさえすればその家は富み栄えるという。 犬神(いぬがみ) 白児(しらちご) 1805 鳥山石燕著 「畫圖 百鬼夜行(前篇陰)」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 江州の狗神白児(かうしうのいぬがみしらちご) 一寿斎芳員画「百種怪談妖物雙六」より 国立国会図書館蔵 Copyright : public domain

ページにリダイレクトします。