宝幢如来

仏教における如来の一尊。「宝幢仏(ほうどうぶつ)」とも。サンスクリット名の「ラトナ(Ratna)」は宝、「ケートゥ(ketu)」は旗といった意味があり、「宝幢」はこれを意味訳したもの。ケートゥには「流星」や「彗星」という意味もあるため、「宝星仏(ほうしょうぶつ)」と呼ばれることもある。また「羅怛嚢計覩(らたんのうけいと)」、「羅壤那計覩(らじょうなけいと)」などと音写する。胎蔵界曼荼羅の東方に配される胎蔵界五仏の一尊で、金剛界五仏の阿閦如来(Akṣobhya)と同体とされる(→五智如来(Pañca Buddha, Dhyāni Buddha, Pañca kula-tathāgata))。兵を統べる旗に象徴されるように、菩提による智慧を旗として人を惑わせる魔を破るとされる。像形は右手で与願印を結び、左手で衣の端を持ち胸に当てる。また身色は赤白色、或いは浅葱色とされる。これは赤白色が降魔の色であるからだという。

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