饑神

日本において、人にとり憑いて空腹にさせ動けなくするという悪霊の一種。「ひだり神」、「びたり神」、「だり神」、「だり仏」、「だり」、「だる」、「たに」、「だに」、「だらし」、「ひむし」、「ひんど」など各地で異なった名で呼ばれる。「饑(ひだる)」とは空腹を表す。日本各地に出現するが、その姿や性格ははっきりしない。餓鬼(Preta)の一種とも飢え死にした人の霊だとも言われる。出現するのは多くは山の中で、憑かれた者は突然空腹に襲われて動けなくなり、その場で昏倒したり死ぬこともあるという。南方熊楠の書によれば、和歌山県の雲取山に餓鬼穴と呼ばれる場所があり、どんなに満腹のときでもこれを覗き込むと饑神にとり憑かれ空腹になるという。饑神の症状は植物の腐敗ガスによる二酸化炭素中毒ではないかという説がある。

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