エジプトにおいて生命活動を司る蛙の女神で"レー(Re)の娘"の一人。「ヘカト(Heqat)」とも呼ばれる。夫はクヌム(Khnum)ないしトト(Totho)。ヘルモポリスの創世神話では原初の渾沌ヌン(Nun)の中に4匹の蛇と4匹の蛙がいたとされるが、ヘケト(Heket)はこの原初の蛙と同一視される。ヘケト(Heket)は神話の中で再生や復活、妊娠といった生命活動が関わるシーンに多く登場する。例えばクヌムが泥から人形を作った時、それに生命を与えて人間にしたのは彼女だったとされる。またオシリス(Osiris)がセト(Set, Seth)によって殺された時、オシリス(Osiris)の復活を手伝ったり、イシス(Isis)の胎内にホルス(Horus)を身篭らせたりしたのもヘケト(Heket)である(このことからホルス(Horus)の事実上の母親とされることもある)。蛙そのもの、或いは蛙の頭部を持ち両手にそれぞれアンクを携えた女性の姿で描かれる。
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