波夜都武自和気神

日本における疾風を司る神。波夜都武自和気神は「延喜式」での表記でほかに同訓で「波夜都武自別神」、「速都牟自別神」と記すほか、「速飄神(はやつむじのかみ/はやちのかみ)」、「速飄別命(はやつむじわけのみこと)」、「速飄命(はやつむじのみこと/はやちのみこと)」などの名前でも呼ばれる。「先代旧事本紀」に拠れば、天降った邇芸速日命の消息を調べるために高御産巣日神の命により波夜都武自和気神が遣わされたが、波夜都武自和気神は邇芸速日命がすでに亡くなっていることを知り、これを高御産巣日神に報告したところ、すぐに邇芸速日命の亡骸を天上に持って帰ってくるように命じられたため、波夜都武自和気神はすぐに踵を返し邇芸速日命の亡骸を天上に収めたとされる。「古事記」や「日本書紀」には邇芸速日命の死についてのくだりはないが、日本書紀に書かれた天若日子の天降りにおいて、天若日子の死に際して父である「天国玉(あまつくにたま)」が「"疾風(はやて)を遣わして"天若日子の亡骸を天に戻した」とあるため、疾風の神格化に伴い神話が改変されたものと考えられる。いずれにしても波夜都武自和気神は疾風や疾風のような行動の速さを神格化した存在だと考えることができる。 島根県松江市新庄町にある式内社「波夜都武自別神社(はやつむじわけじんじゃ)」(久良弥神社の配祀)、島根県出雲市国富町の式内社「都武自神社(つむじじんじゃ)」、及び島根県松江市東出雲町の「波夜都武自和気神社」(筑陽神社の合殿)に祀られる。

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