般若菩薩

仏教における菩薩(Bodhisattva)の一尊。「般若波羅蜜菩薩(はんにゃはらみつぼさつ)」ないし「般若波羅蜜多菩薩(はんにゃはらみたぼさつ)」の略であり、般若は「プラジュナー(prajñā)="智恵"の意」、波羅蜜多は「パーラミター(pāramitā)="彼岸(悟り)に至る、達成"の意」を音写したもの。十波羅蜜および六波羅蜜のひとつ。「般若仏母(はんにゃぶつも)」、「慧波羅蜜多菩薩(えはらみたぼさつ)」、「阿利也波羅只穰波羅蜜多(ありやはらきじょうはらみた)」などの名前でも呼ばれる。般若波羅蜜多経を神格化した菩薩(Bodhisattva)であり、智慧を司るとされ、般若菩薩(Prajñāpāramitā)の真言を唱えれば人空無分別、法空無分別、倶空無分別といった三種の智慧を会得し、般若波羅蜜、つまり智到彼岸(智が達成された状態)に至るという。胎蔵界曼荼羅では持明院の主尊として中央に配されるほか、虚空蔵院にも六波羅蜜の一尊として南方(右側)上段一位(中央虚空蔵菩薩(Ākāśa-garbha)の右隣り)に配する。 密号は「智慧金剛(ちえこんごう)」ないし「大慧金剛(だいえこんごう)」、種字は「धिः(dhiḥ)」、「धी(dhī)」、「धीः(dhīḥ)」、「ज्ञ(jña)」、「प्र(pra)」、印相は梵篋印(胸の前で右手を上にして片方の指をもう片方の手のひらにそれぞれ当てる)ないし般若根本印(薬指と中指を立てて手の甲で両手を合わせ、小指と人差し指は曲げ親指で抑える)、真言は「唵地室哩輸嚕多尾惹曳娑嚩賀」(般若波羅蜜菩薩真言・T0852)、三昧耶形は宝剣。 般若菩薩(Prajñāpāramitā)(持明院) 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 胎蔵界曼荼羅持明院における図像。一面三目六臂の円満相で堅甲冑を身に着け、左手に梵篋、臍輪、右手に護印、残った両手は根本の契を結ぶ。 般若菩薩(Prajñāpāramitā)(覺禪抄) 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 般若菩薩(Prajñāpāramitā)(虚空蔵院) 国訳秘密儀軌編纂局 編 「新纂仏像図鑑 地之巻」より 国立国会図書館蔵 Copyright: public domain 胎蔵界曼荼羅虚空蔵院における図像。白黄色の身色で羯磨衣を身に着け右手に利剣を持ち、左手は胸の前で薬指と小指を立てあとは曲げ赤蓮華に丁字形に坐す。

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