玉皇大帝

現在の中国、台湾、東南アジアなどの民衆道教で最も崇拝を集めている、道教の実質の最高神。単に「玉皇(ぎょくこう)」、あるいは「玉皇上帝(ぎょくこうじょうてい)」、「天公(てんこう)」、「昊天上帝(こうてんじょうてい)」、「玉皇大天尊玄霊穹高上帝(ぎょくこうだいてんそんげんれいきゅうこうじょうてい)」などの名でも呼ばれる。道教の最高主宰神は、5世紀には太上老君(Tai-shang lao-jum)、6世紀からは元始天尊(Yuan-shi Tain-zun)を掲げるが、それが化身して天界を統治するようになったのが、玉皇大帝(Yù-huang dà-di)であるとされている。また、太上老君(Tai-shang lao-jum)の霊感によって生まれた、太上老君(Tai-shang lao-jum)の息子だとする伝承もある。現在でも教義的な最高神は元始天尊(Yuan-shi Tain-zun)であるが、宋の真宋皇帝や、北宋の徽宗皇帝が玉皇大帝(Yù-huang dà-di)を特別視したことから現実的な最上位の神となったと考えられる。 天地のあらゆる事象を統べる神であり、72通りの変身の法を知り、おびただしい数の家来を用いて命令を遂行させるという。彼の第一の家来は泰山府君(Tài-shān fŭ-jūn)であるされる。また玉皇大帝(Yù-huang dà-di)は中国の皇帝と直接つながり、玉皇大帝(Yù-huang dà-di)の家来も皇帝の家来と相応して関係しているとされてきた。11世紀には皇帝が玉皇大帝(Yù-huang dà-di)から信任の書簡を受け取ったと称して、衰えた権力を人心をなびかせることにより取り戻そうとしたこともあった。また民衆が身近に感じられる神でもあり、各家庭にいる竈君(Zaojun)から受けた報告で人々の運不運をコントロールしているとされる。玉皇大帝(Yù-huang dà-di)は一般的に龍が刺繍された皇帝の正装をまとい、玉座に座った姿で表される。西王母(Xi-wang-mu)がその妻とされ、また多数の姉妹、娘、甥などがいるという。玉皇大帝(Yù-huang dà-di)の宮廷には獅子がおり、天界を邪悪な存在から守っている。

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