仏教において明王(Vidyārāja)の一。サンスクリット名を「クンダリー(Kuṇḍalī)」ないし「アムリタクンダリン(Amṛtakuṇḍalin)」といい、クンダリーは瓶、アムリタは不死の妙薬(=甘露)を意味する。軍荼利明王(Kuṇḍalī)のほか、「甘露軍荼利(かんろぐんだり)」、「甘露軍荼利明王(かんろぐんだりみょうおう)」、「大笑明王(たいしょうみょうおう)」、「吉里明王(きりみょうおう)」などの名でも呼ばれる。また音写では「阿密哩多軍荼利(あみりたぐんだり)」と称する。また上記の訳のほかクンダリーを「クンダラ(耳環)をもつもの」と解することもある。 宝生如来(Ratna-saṃbhava)の教令輪身(きょうりょうりんじん=教化のために如来が明王の姿をとること)であり、悪鬼を懲らしめ甘露水により煩悩を洗い流す仏尊とされる。胎蔵界曼荼羅には蓮華部院(観自在院)に「蓮華軍荼利(れんげぐんだり)」、金剛手院に「金剛軍荼利(こんごうぐんだり)」、蘇悉地院に「甘露軍荼利(かんろぐんだり)」の三尊の軍荼利尊を使者として配するため、軍荼利明王(Kuṇḍalī)は蓮華部、金剛部、仏部の三部に通じる総使の明王とされる。金剛界曼荼羅では降三世会に列し、五大明王の一人として南方を守護する。 密号は「甘露金剛(かんろこんごう)」、種字は「अ(a)」、「हूं(hūṃ)」、「कु(ku)」、「कुं(kuṃ)」、印相は羯磨印、真言は「唵婀密㗚帝吽発吒(おんあみりていうんはった)」、三昧耶形は三鈷杵、棒、剣、賢瓶。 金剛軍荼利 「大正新脩大藏經図像部 第1巻」 「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0) 胎蔵界曼荼羅の金剛手院における図像 金剛軍吒利菩薩 「大正新脩大藏經図像部 第1巻」 「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0) 胎蔵界曼荼羅の蘇悉地院における図像 蓮花軍吒利 「大正新脩大藏經図像部 第1巻」 「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0) 胎蔵界曼荼羅の蓮華部院における図像 軍荼利金剛 「大正新脩大藏經図像部 第1巻」 「金剛界九會大曼荼羅 仁和寺版」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0) 金剛界曼荼羅降三世会における図像。 軍荼利 「大正新脩大藏經図像部 第6巻」 京都醍醐寺蔵「五大尊圖像(弘法大師御筆様)」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0)
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