チベット仏教における四天王(Cātur-mahā-rāja-kāyika)、つまりインドでいうチャートゥルマハーラージャカーイカ(Cāturmahārājakāyika)にあたる、四方を守護するためのチョキョン(護法尊)である四尊のこと。名前は「四人の偉大な王」を意味する。また略して「ギェルチェン・デシ(rGyal chen sde bzhi,Gyelchen dezhi)」ないし「ギェルチェン・シ(rGyal chen bzhi, Gyelchenzhi)」とも呼ばれる。東方を守護する「ユルコルスン(Yul 'khor srung, Yünkhorsung)」(=日本の持国天(Dhṛtarāṣṭra))、南方を守護する「パクケポ('Phags skyes po, Pakkyepo)」(=日本の増長天(Virūḍhaka))、西方を守護する「ミクミサン(Mig mi bzang, Mikmizang)」(=日本の広目天(Virūpākṣa))、そして北方を守護する「ナムトゥーセー(rNam thos sras, Namtösé)」(=日本の毘沙門天(Vaiśravaṇa))の四尊で構成される。 ギェルポチェンポ・シ(rGyal po chen po bzhi, Gyelpo chenpo zhi)の古い作例では、袖や裾の長い戦袍(戦闘用の衣服)の上から胸を腹部を覆う鎧を着たものでだったが、16世紀以降になると中国風の武装した神将像が普及するようになった。またチベットでは日本の仁王のように、ギェルポチェンポ・シ(rGyal po chen po bzhi, Gyelpo chenpo zhi)を寺院の門の左右両側に二尊ずつ(像や壁画で)配する慣習がある。
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